下ノ薪小屋ニ居リマス

 

厳寒期を除いてほとんど薪小屋で寝ている。

 

5年程前に一人で半年かけて建てた小屋。

 

 

毎週の薪割で木端が散乱している。

 

ゲジゲジやクモが同居してるお粗末な小屋。

 

 

一日の全てが終わった真夜中に、この小屋で濃い目のアルコールをチビチビやりながら夜中の気配に耳を傾けるのが帰宅してからの楽しみである。

 

 

 

季節で移り変わる闇の世界の振動。

 

 

 

冬の寒さが緩んで田植えが始まる季節になると何百匹というカエルの大合唱。

 

種類の違うカエルが不規則にわめき散らし突然ピタッと訪れる不思議な静寂。

 

早朝には若い鶯がまばぎこちないアクセントで歌の練習を始める。

 

 

 

 

月日は流れ夏の暑さが強力になってくる。

 

まだ薄暗い午前4時頃・・・早朝の黄昏時に鳴き始めるヒグラシ。

 

必然的に寝不足の早起きオヤジになる。

 

 

 

 

そして今。

 

まだまだ夏の暑さが強力なお盆の最中。

 

今はもうわめき散らすカエルの声は聞こえない。

 

早朝のヒグラシも鳴かなくなった。

 

その替わり春のそれと同じように毎夜毎夜にうるさくなってくるのが虫の声だ。

 

ツユムシ、キリギリス・・ずっと鳴き続けている正体の分からない虫の羽音の合間に聞こえるコオロギの声。

 

田んぼも稲穂が実り始め淡い山吹色に変化してきている。

 

日中はまだまだ強烈に暑いが、深夜に窓から吹き込む風と夜露の匂いに微かに秋を感じる。

 

 

 

1日の疲れと共に一気に酔いが回る。

 

 

 

窓を開けっ放しにして蚊帳を吊りコンパネで作った作業台兼簡易ベッドに横になり身体を伸ばして足の指先まで神経を緩め自分の全てのスイッチをオフにして闇の振動に浸っていく。

 

 

外気との一体感。

 

 

さまざまな生物達の闇のライヴ演奏の独り占め。

 

 

最高に幸せな時間だ。

 

 

雌を誘うコオロギの羽音の旋律が昨夜より確実に力強くなっている。

 

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